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セッションVI(1月5日13:30−15:00)
まとめ
フィジィカルエグザミネーションについて
西立野 まとめということなのですが、その形をとってもいいし、あるいは問題点がありましたらそれに沿ってお話しいただいてもいいかと思います。
日野原 今回のワークショップは医師もナースも来られるというので、患者さんがいよいよ亡くなる時にどうタイミングを読むか、やはりいちばんいい条件で息を引き取られるようなセッティングにもっていくという、ある意味では演出なんですけれども、それを科学的に把握してそれを学問的に踏襲していく。
診断学や治療学はかなり進んでいますが、予後を読みながらそれに対する私たちの備えに対する研究はほとんどないのです。しかし、癌の末期の患者さんのケースを相当見るとだんだんそれができてくる、そういう研究をしたいと思ったのです。「おわりよければすべてよし」というシェークスピアのドラマがあるように、有終の美というのはやはりホスピスでは必要なのですね。それがよかったという記憶になるのです。
このホスピスでもドイツで長く生活された奥さんが入院され三人の娘さんがみんな外国人と結婚して外国にいる、それでここに集まって最後に三人の子供夫婦とご主人とで奥さんを送りたいといわれるのです。そのタイミングが早すぎてもよくないし、非常にむずかしかったと思いますがうまくやることができた。そのご主人から後で私に手紙があって、家内は自分が死んだら男一人で生活が大変だから、私がいちばんいい人を主人の後添えに考えたいと。そして2ヵ月後に、東京のクラブに友だちを呼んで、お葬式はないのです、実は家内が死にました、家内が私のためにこの方をお世話して下すって、これから私たちはニューホームを持ちますと。そういう会をしでそのことを子細に私に報告してくれたのです。お母さんがいちばん願ったことがちゃんとかなえられたというのでそのファミリーは本当に満足されました。こういうことはめったにないことだと思いますが、日本ではこういう婦人がいるということをHoy先生ご夫妻にご紹介したいと思いました。(笑い)
−死後の処置の際に手袋は着用しますか。
Wendy 英国でのポリシーとして、すべての患者はHIV陽性またはエイズ、なんらかの感染症を持っているという想定の下に手続き、処置をするということが要件となっています。ですからカテーテルを挿入する時にも手袋をします。在宅だったら必ずしも手袋ということにはならないかもしれませんが、病院とかクリニック、ホスピスでは必ず手袋を用います。
岡安大仁 ウェンディさんが昨日看護による疼痛緩和の工夫の中で、フィジカルエグザミネーションが大切だと話されたのですが、ナースとドクターの行うエグザミネーションに何か違いを持っておられるか、あるいはドクターとナースでフィジカルエグザミネーション(身体所見のとり方)に差を生じたようなときのディスカッションで特に印象に残っているようなことがおありになりますか。
Andrew ナースは常に正しいのです。(笑い)
Wendy 患者さんにタッチをするのもナースだし、主訴、症状を聞くのもナースであるということであるならば、そのフィジカルエグザミネーションをやることによっていろいろ患者さんの主訴のヒントを汲み上げてくるというのもナースだろうと思います。ただ深いフィジカルエグザミネーションの訓練を必ずしも受けてないわけですから、たとえば肝カプセルによって痛みがあるような場合には肝のサイズがどれぐらいになっているかということを知ることも大切ですし、サイズを知るということは疼痛の診断にもつながるということだと思います。
Andrewは医師のフィジカルエグザミネーションとナースのそれには違いがないはずと言ってくれるだろうと思いますが、しかしすべてのナースがフィジカルエグザミネーションをやっているのではないということもまた事実です。
日野原 看護協会がクリニカルナーススペシャリストの制度を発足させたばかりです。
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